戦前は遺言書は必要なかったが / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


遺言書と言うと、日本には馴染みのないものという考えを持つ方もいると思います。

明治から戦前にかけては、遺言書を作成することはあまりありませんでした。

というのは、家督相続といい、長男などの特定の個人にあらゆる遺産を相続させることが当たり前だったために、遺産をめぐる争いが起きなかったからです。

戦後になると家督相続制度が廃止されて、配偶者や子に対して一定の割合で相続させる法定相続制度が民法で定められました。

もちろん、遺言書がなければ、法定の割合に従って相続手続きが行われることになるわけですが、民法では、割合を定めているだけで、具体的に、誰が何を相続しなさいと定めているわけではありません。

例えば、不動産と銀行預金が遺産だとすれば、それを配偶者と子供でどう分けるのか?

不動産は配偶者が相続して、子供が銀行預金を分け合うのか?

それとも、不動産も売却して、すべての財産を金銭化したうえで、法定の割合で分け合うのか?

そう言ったことは、民法には書かれていないので、当事者同士が話し合って決めなければならないわけです。

ここでうまく話がまとまらずに、こじれてしまうこともあるわけです。

また、法定相続分は、必ず守らなければならないというものではありません。

遺言書の有無にかかわらず、法定相続と違う割合で財産を分け合うこともできるわけです。

自由に相続ができるようになった分、相続をめぐる争いが起きやすくなったということです。

戦前は、遺言書は必要なかったかもしれませんが、これからの時代は、遺言書を書くべきなのです。


※民法

(法定相続分)
第九百条  同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一  子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二  配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三  配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四  子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

(代襲相続人の相続分)
第九百一条  第八百八十七条第二項又は第三項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。
2  前項の規定は、第八百八十九条第二項の規定により兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する。

(遺言による相続分の指定)
第九百二条  被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。
2  被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める。


(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条  被相続人の子は、相続人となる。
2  被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3  前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第八百八十九条  次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一  被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二  被相続人の兄弟姉妹
2  第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。

(相続人の欠格事由)
第八百九十一条  次に掲げる者は、相続人となることができない。
一  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二  被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三  詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四  詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者


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by takkenmon | 2017-07-17 20:31 | 知らなければ恥 実務の常識 | Comments(0)